現在の皇室典範では、皇位継承資格は男系男子に限られています。そのため、継承資格者は秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下、常陸宮殿下と限られており、このままでは将来的に皇位継承が途絶える可能性も指摘されています。
こうした状況から、小泉政権時代には女性天皇・女系天皇を認める方向で議論が進められました。しかし、悠仁親王殿下のご誕生を受けて、その議論は中断されました。
今回の皇室典範改定では、国民への十分な説明もなく、国会で慎重な議論も行われないまま、旧宮家の男性を養子として皇族に迎える案が進められました。一方で、多くの世論調査で支持が高いとされる愛子内親王殿下への皇位継承については、十分な議論すら行われませんでした。このような形で改定を強行採決した政権と、それに賛同した与党および一部野党には強い憤りを覚えます。
男系男子による皇位継承を定めた旧皇室典範は、開国後に富国強兵を国是とし、天皇を統帥権を持つ国家元首と位置づけた明治憲法下では一定の歴史的背景があったと言えるでしょう。しかし、戦後の日本国憲法は、主権在民、平和主義、基本的人権の尊重を柱とし、天皇を統治権を持たない象徴と位置づけています。また、男女平等も憲法の基本理念です。そのような現代の憲法の下では、女性天皇や女系天皇を認めることは自然な考え方ではないでしょうか。
さらに、日本の歴史を振り返れば、「原始、女性は太陽であった」という平塚らいてうの有名な言葉が示すように、古代には倭国の女王・卑弥呼がおり、皇室の始祖とされる天照大神も女性です。また、これまで126代の天皇の中には10代8人の女性天皇が存在しました。こうした歴史を見ても、皇位継承を男系男子だけに限定しなければならない根拠は乏しいように思われます。
戦後、昭和天皇は象徴天皇として、憲法に定められた国事行為に加え、国際親善や全国各地への慰霊の旅を続け、平和と国民の安寧を祈りながら国民に寄り添われました。そのお考えは上皇陛下、そして今上天皇陛下にも受け継がれています。愛子内親王殿下も、その姿勢を学びながら公務に臨まれています。そのため、女性天皇として皇位を継承されることは、多くの国民にとって自然で納得できる姿ではないでしょうか。
また、日本の民法では親族の範囲は「6親等以内の血族および3親等以内の姻族」とされています。その一方で、数十代前に皇籍を離れ、現在は一般国民となっている旧宮家を復帰させてまで男系男子を維持しようとする今回の改定には、多くの国民の理解は得られないと考えます。今回の改定については、憲法違反として提訴する考えを示している漫画家・小林よしのり氏をはじめ、さまざまな立場の著名人からも賛同や問題提起が広がる可能性があるでしょう。
私見ですが、象徴天皇とは、国民統合の象徴として、基本的人権や自由な行動にも多くの制約を受けながら、現人神ではなく、天と民を結ぶ神官のような役割を果たされている存在だと考えています。日々、平和と国民の安心・安寧を祈り続け、その権力ではなく権威によって国民から敬愛される存在です。そして、国家的な危機や国論が大きく揺れるような状況において、国民を精神的に一つにまとめることのできる唯一の存在でもあると思います。
そのような天皇を戴き、その存在を国民共通の精神的支柱として大切にしてきた日本は、世界に誇ることのできる国だと私は考えています。
だからこそ、「皇位継承については国民の意思に従うことが望ましい」という考え方があるにもかかわらず、十分な議論や国民的合意を経ることなく、政治の力で皇室典範改定を強行採決した政権、与党、そしてこれに賛同した一部野党の対応は、到底容認できるものではありません。
2026年07月23日
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